トラブル分析事例 潤滑油 編
4ストロークエンジン潤滑油フィルタの目詰り
- 現象:
- 4ストロークエンジン潤滑油フィルタの目詰りが頻発しました。
- 分析:
- 光学顕微鏡による外観観察と電子顕微鏡による表面元素分析SEM-EDS (Scanning Electron Microscopy–Energy Dispersive X ray spectroscopy)を実施しました。
- 結果:
- 元素分析の結果、おもな元素は酸素、炭素、カルシウム、硫黄などでした。
- 結論:
- これらの元素はシステム油の添加剤として一般的に使用されており、燃料油との燃焼時に生じた潤滑油の劣化物と推定されます。
目詰まりが頻発する場合は燃料油性状や燃焼システムの調査、フィルタの洗浄方法・間隔の検討、新油補給量の増量等をお勧めします。
フィルタの洗浄;フィルタ洗浄には洗浄剤のご使用をお勧めします。
【洗浄剤 - オイル汚れ洗浄剤】をご覧ください。
エンジン過給機潤滑油タンク底の滞留水にカビが発生
- 現象:
- エンジン過給機の潤滑油タンク底に滞留水があったため滞留水と沈殿物を分析しました。
- 分析:
- 滞留水の成分分析と沈殿物の顕微鏡観察、カビの検査を実施しました。潤滑油に対しては性状分析を行いました。
- 結果:
- 滞留水は清水であり、沈殿物にはカビの菌糸が確認されましたが、短く分断されており活性は低いと考えられます。潤滑油は問題はなく継続使用できる性状でした。
潤滑油のカビについて;船舶の潤滑油タンクにカビが発生することは稀ですが、状況から判断し、長期間にわたって溜まった滞留水がカビ発生の原因と考えられます。潤滑油の性状に問題はありませんでしたが、定期的にタンク底のドレンを採取し水分等があれば排出することをお勧めします。