日本油化工業 » お困りの方 » 硬質カーボンが落ちない
当ホームページでは、船舶の各所に付着する固体の汚れを次の様に呼んでいます。
つまり「カーボン」とは、船舶の燃料・潤滑油系統、燃焼装置、排気系統などに付着する黒い炭素質の汚れを指します。
船舶に見られる「黒い汚れ」は、主に燃料油、潤滑油に由来するものです。元々は液体ですが、加熱により軽質分の蒸発が進むと極めて粘性の高い「スラッジ」へ、更に加熱が進むと「カーボン」へと変化して行きます。
カーボンの付着し易い場所
船舶の燃料・潤滑油系統 |
…清浄機分離板、FOヒータ、LOヒータ |
燃焼機関 |
…燃焼装置 - 給・排気弁、給気弁、ピストンヘッド、バーナ、スワラ |
排気系統 |
…排ガスエコノマイザー、煙突内部 |
船舶における燃料油起源の「スラッジ」、「カーボン」の特徴は、元々燃料油(A重油、C重油)に含まれる硫黄分の一部が変化した硫酸を含んでいることです。そのため、ガスエアヒータ、ファンネル等の煤は強い酸性を示します。また排気弁やピストンヘッドなどに付着したカーボンは、空気と共に高温で加熱されているため、その表面に酸素を含んだ官能基(-OH、-COOH)を持っているようです。
潤滑油起源のカーボンは、潤滑油添加剤中のアルカリ成分(燃料重油から生成する硫酸を中和するための成分)を含んでいる場合が多く、酸と反応する傾向があります。
また燃料油起源のカーボンでも、排気弁付着カーボンと給気弁付着カーボンとでは性質が異なる場合があります。それはカーボンと共に油分が存在するか否かであり、しばしば給気弁付着カーボンは未燃焼の燃料油などを含んでいます。
いずれの場合も、油分が多い場合にはまずそれを溶剤で除去します。その上で、燃料油起源のカーボンの洗浄剤には硫酸と反応しやすい成分(アルカリ塩)の配合を、潤滑油起源のカーボンの洗浄剤にはアルカリ塩と反応し易い成分(酸)の配合を考えます。
基本的な考え方は、カーボンは水に溶けるが、油分があるとそれを邪魔する、ということです。
1:カーボンは水に溶ける
カーボンは水に溶けるとは言っても例えば水道水には溶けません。カーボンが水に溶けるためには、その水の中に水溶性のアルカリ塩が存在していることが必要です。
カーボン表面の極性基(-COOHなど)の持つ水溶性は弱いものですが、水溶性アルカリ塩が存在すると強い水溶性を持つようになります。
2:油分を除去する
カーボン表面が油で覆われていると水がカーボンと接触できません。すると水中のアルカリ性塩もカーボンと接触できす、従ってカーボンに水溶性を持たせることができません。つまりカーボンと水溶性アルカリ塩を接触させるためには、カーボンを覆っている油分を除去しなければなりません。
カーボン表面を覆っている油分はしばしば粘度が高いものですが、油性物質を溶解する能力の高い溶剤を使って溶解、除去することができます。
3:カーボンを覆っている油分が少ない場合
しかし、油分はカーボン表面のみに存在するとは限らず、表面と内部の区別なく混在しているケースも多くあります。このような場合は、カーボンを溶かす水の中に、油を水に溶かすことができる成分(界面活性剤)がないと、アルカリ性塩とカーボンの接触が油によって阻止されてしまいます。
この界面活性剤は、溶剤のように多量の油分の除去には適しませんが、少量の油分なら除去することができます。
カーボン除去剤(ハイカーボン、ハイカーボクリーン、ユニゾール K-48)はこちら
日本油化では、上記の考え方を基に設計されたカーボン除去剤を各種取り揃えています。それぞれ長年の使用実績から改良を積み重ねてきたもので、安心してご使用いただけます。
オイル汚れ洗浄剤
ユニゾール H |
…殆どの油分はユニゾールHで落とせます |
燃料油起源のカーボン用
ハイカーボン |
…アルミニウムの洗浄が可能 |
ハイカーボクリーン(粉末) |
…ハイカーボンの粉末版 |
ユニゾール K-48 |
…鋳鉄用。アルミニウム不可 |
潤滑油起源のカーボン用
LO Purifier Disc Clean |
…カルシウム塩等を溶解・除去 |
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